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導入事例/HUB

【TechJapanHab事例インタビュー / 株式会社michiteku様】手厚いサポートを受けられることで、グローバル組織を目指す第一歩を踏み出せた。学生との1on1で社内の受け入れ態勢も整備

インド工科大学(IIT)をはじめとするインドの優秀な学生の採用を支援するプラットフォームTechJapanHub。サービスの一環であるサマーインターンを通して選考し、採用を決めた企業様にインタビューさせていただきました。今回は、「これからのがん治療に向かう不安なあなたと治療や生活を考えるツール「michiteku」を提供している株式会社michitekuのプロダクト開発統括ディレクター 鈴木啓司さんにお話を伺います。



株式会社michiteku プロダクト開発統括ディレクター 鈴木啓司

インターン受け入れ:2名 採用:2名



<前職時代から知っていた、インド人エンジニアの優秀さ>


―はじめに、TechJapanHubをご利用いただいた背景を教えてください。


利用に至った直接的なきっかけは、縁あって貴社をご紹介いただけたためです。それ以前より、個人的に「いつかは開発組織をグローバルな組織にしたい」という思いがありました。私の前職は外資系自動車メーカーで、外国籍の方と働く機会が多かったのです。そのなかでインド人のエンジニアやプロダクトマネージャーと働く経験もしていまして、非常に優秀な人材がいると実感していました。


また、日本人とは違う価値観を持っている人たちと働くことでこれまで気づけていなかった視野の広がりを     体感し、こういう職場だったらすごくいいよなと思っていたのです。ただ、michitekuでグローバル組織を目指せるのはまだ先のことだとは思っていました。貴社とのご縁があり、時期が早まった形です。優秀なエンジニアが入ってきてくれるならありがたいですし、エンジニア採用のためのコーディング試験も準備されていたので、今チャレンジしても見極められるのではないかという思いもありました。



<事前にルールを明確化。その上で文化・価値観を共有できる機会を設けた>


―インターンをどのような流れで進めましたか。


TechJapanから、2ヵ月のインターン期間のプランのご提案をいただきました。まずは丁寧にオンボーディングを行い、最後に成果物を発表できる機会を設けるという提案で、それに沿ったインターンプランを考えました。スクラム開発の中に入ってもらい、リリースした     プロダクトの機能追加や改善作業を実施してもらうという流れで進めました。


―インドからインターン生を迎えるにあたっての懸念、不安はありましたか。また、それらに対し、どのような工夫をされましたか。


不安だったのは、言語と文化の壁ですね。     弊社には仕事で英会話に迫られた社員がほとんどいませんでした。また、フルリモートかつ日本ではない国からのコラボレーションもほぼ未経験だったので、苦労するだろうなと思っていました。ただ、「将来有望なメンバーが採用でき、プロダクト開発の推進ができるならいいのではないか」「グローバルな環境で仕事ができるなら自分の価値も上げられるし、挑戦したい」という前向きな声も大きかったため、思い切ってチャレンジしてみようと思えましたね。


まず工夫したのはオンボーディングです。急ぎで受け入れ態勢を整える必要があったので、事前にルールを考えて言語化し、最初にインターン生に伝えました。インターンを続ける上で守ってもらいたいことも、あえて厳しい言い方で明確にし、ルールの中に含めました。     ただ、こちらの求めることを一方的に押し付けるのではなく、最低限のルールを伝えた上で、インターン期間中に互いの文化・価値観を共有する機会を作るスタイルで進めました。


また、弊社は海外エンジニアがあまり使っていないプログラミング言語のRubyを使っているため、改めてドキュメンテーションを見直し、日本語で明確かつ詳細に書き足した上で、それを翻訳したものを用意しました。おかげで想像よりはスムーズにオンボーディングを進められたと思っています。


言語の壁については、Zoomのリアルタイム翻訳を活用することで乗り越えました。精度的に工夫が必要なところもありますが、簡単な日本語を選べば割ときちんと翻訳してもらえるので、無理して英語を話さなくてもプログラミングの仕様を伝えられます。英語が得意ではないメンバーも海外エンジニアに対して、十分にプログラムの仕様を伝えることができ、「まさか自分が直接伝えられるとは」と驚いていました。外国人とのコミュニケーションに不安を感じる社員がいる会社では、この「意外とできるんだ」の雰囲気を作ることも大切だと思います。翻訳に関するツールは、ぜひ使ってみていただきたいですね。


あとは時差も活用しました。インドと日本は3時間半の時差があるため、ここは使わない手はないなと。そこで、効率的にコラボレーションできるよう、インド側で作業を終えてもらった際に、デイリーレポートという形でSlackに書き込んでもらうようにしていました。事前にデイリーレポートを記載してもらうことで、翌日、日本で彼らの作業状況を事前にキャッチアップし、適切な指示やサポートができるようになりました。


―実際にインターンを行ってみて気付いた点、課題はありましたか。


IT大国で知られるインドですが、意外と向こうのインターネット環境が良くなかったことには驚きました。優秀な工科大学の学生なので、インターネット環境も超高速な優れたものなのだろうと先入観を持っていました。そもそも、パソコンは、アプリなどの開発に特化したものでもないということを知ることができました。今後、採用を進めるうえで、留意しておきたいと思っています。


あとはやはり価値観の違いですね。こちらが日本ならではの価値観のもとで、抽象的に仕様の依頼をしたために、予想通りの成果物が出てこないことがあり、軌道修正に苦労しました。これは日本人同士でもあることで、言語を明確に、さらに粒度を細かくして伝えることでズレを防げるのですが、やりすぎるとコストがかかりすぎてしまうため、バランスが難しいなといったところです。



<技術力はもちろん、社風にフィットする学生を採用>


―採用の決め手を教えてください。


今回、採用に至ったのは2名です。150人近くの応募者から、コーディングテストで上位成績者を10名程度に絞り、さらに実際にインターンに参加してもらった2名ですね。    


面接では、なぜ応募したのか、インターンでどのようなことを学ぼうと考えているのか、弊社のビジョンに共感が持てるかどうかなどについて、主に確認しました。あとは日本企業や日本そのものへの興味や知識についても問いました。


結果、1人は日本文化やゲームが好きで、どんどん前に進んでいく新しい技術が好きな人材を採用しました。もう1人は物静かで、熟考してから返事をするような方と、全然違うタイプの2人です。どちらもコーディング試験上位者で、先程述べた判断材料に多くマッチしていたので、うまく馴染んで、成果を発揮してもらえるだろうと判断しました。


―TechJapanのサポートについてはいかがですか。


2ヵ月のプランニングの提案を始め、非常に丁寧にサポートしていただけたと思っています。インターン中には弊社のメンバーとインターン生との1on1に同席いただき、困りごとにも真摯に対応していただけたことも大変助かりました。この1on1は互いの人となりを知ることを目的に行っていたのですが、日本の地方についても話し合ったようで、「大阪は良さそうな場所だ」とか、「福井のような静かなところも日本にはある」といった具合に、インターン生が入社後のイメージを抱けたのも良かったと思います。



<今回の採用はグローバル組織作りの第一歩>


―来年の秋には入社予定だと伺っています。


そうですね。それまでに日本で生活をする上で不自由がないレベルまで日本語の勉強をがんばってもらいたいなと思っています。入社前に再度インターンを希望しているという話も出ているので、もし実現できれば、技術面のキャッチアップもしてもらいたいなと。入社までに日本語と技術の双方を伸ばしてもらいたいですね。


入社後はプロダクト成長のために、すぐに即戦力級に成長してもらうのがファーストステップ。今後プロダクトを大きくグロースさせた際は、彼らの国に開発拠点を設けて多様性のある強い組織を作るというのが私の密かな目標ですね。    


―あらためて、今回のインターンの取り組みについてのご感想をお聞かせください。


採用が決まったことで、グローバルを意識した開発環境の整備も進んでおり、社内マニュアルの英語化も進行中です。実際にインターン生と開発をする経験ができたことで、グローバル人材と働くことに対する日本人エンジニアの不安や抵抗が、働く前に比べて大きく軽減したと感じています。    


日本人エンジニア採用市場は非常に厳しいのが現状で、2030年には最大で80万人近く不足するともいわれています。そうした中、インドは毎年100万人近くのIT人材候補を輩出しているそうです。その中には、非常に優秀な人材がいる。そうした事実をしっかり説明できれば、また次年度以降の取り組みにつなげていけるのではないかと思います。


―今後、またインターン生を迎える可能性はありますか。今後の展望についてお聞かせください。


個人的には、長く取り組みを続けていけたらという思いがあります。ただ、人材獲得は、プロダクトや事業の成長とセットで考えるべきなので、それ次第といったところです。 いずれは、優秀なエンジニアであれば、インドだけではなくさまざまな国籍の人材と仕事ができるようにしたいなと考えています。多様性を尊重した組織は企業の業績に正の相関があるとのデータもあり、そのような組織を目指していきたいと考えています。 今回はその一歩を後押ししてくれた自社と、TechJapanさんに感謝したいです。